【法人税の中間申告】予定申告か仮決算かの選択について

法人経営の税務
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法人税の中間申告とは?

中間申告制度の概要と申告期限は次の通りです。

中間申告制度の概要

法人税の中間申告とは、普通法人において、前期の法人税額が20万円を超えた場合に必要となる、税金の仮払い(前払い)の制度です。

中間申告は、あくまでもその事業年度の年間税額の仮払的な性質のものですので、事業年度が終了した後に確定する税額に合わせる形で精算されます。つまり、年間の確定申告後に納税する税額は、中間納付分を控除した残額を納付すればよく、逆に中間納付が多すぎて年間の税額から控除しきれない場合は還付を受けることができます。

中間申告が必要なのは普通法人(株式会社や合同会社等)とされていますので、公共法人、公益法人等、協同組合等、人格のない社団・財団、非営利型の一般社団法人等は中間申告の義務はありません。これらの法人格で仮に収益事業を行っていても、中間申告を行う必要はありません。

(注)非営利型「以外」の一般社団法人・一般財団法人については、普通法人と同じ課税となりますので、中間申告の義務は免除されていません。

中間申告の期限

中間申告の期限は以下の通りです。

【中間申告の期限】 事業年度開始後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内
つまり、決算日から「8ヵ月後」です。
<例>
  • 3月決算法人 → 中間申告の期限は11月末
  • 12月決算法人 → 中間申告の期限は8月末

中間申告の仕方は2つの方法から選択する

中間申告には2つの方法があり、ひとつが①予定申告という制度で、もうひとつが②仮決算に基づく方法という制度です。企業自らがどちらかを選択します。

①予定申告

ひとつ目が予定申告という制度で、こちらが原則になります。

予定申告は非常に簡便な方法で、一般的には中間申告書を提出しないケースが多いです。というのも、「中間申告書を期限までに提出しなかった場合は予定申告による申告があったものとみなす」ということになっているためです(いわゆる「みなし申告」)。

そのため、必ずしも中間申告書を作成する必要はなく、期限までに納税のみ行えばよいことになっています。

【予定申告を採用する場合】 中間申告書を作成する必要はなく、納税だけ済ませればよい

②仮決算に基づく方法

ふたつ目の仮決算に基づく方法とは、事業年度開始後6ヵ月を1事業年度とみなして税額を計算し中間申告書を作成・提出する方法です。

前述の予定申告とは異なり、こちらの方法では年間の確定申告書を作成するのとほとんど同様の手順で書類を作成する必要がありますので、時間、手間、コストがかかります。本来は年に1回でいい決算作業を年2回実施するような形になりますので、この作業に係る時間、手間、コストが最大のデメリットと言えます。申告作業を税理士に依頼する場合には税理士報酬もかかります。

仮決算に基づく方法を選択できない場合

仮決算に基づく方法は予定申告に比べ時間、手間、コストのかかる方法ではありますが、それを負担したとしても常にこの方法で中間申告ができるわけではありません。次の2つのケースにおいては、仮決算に基づく方法による中間申告を選択することはできません。

  1. 仮決算に基づく方法により計算した法人税額が、前期基準額を超える場合
  2. 仮決算に基づく方法により計算した法人税額が、予定申告に基づく方法による税額を超える場合
これは、あえて中間申告時に多くの税金を前払いしておき、年間の税額が決まる確定申告時に多額の中間納付分の税還付を受けることで、それに付される還付加算金を得ることを目的に制度が利用されることを防止する趣旨です。

仮決算に基づく方法を選択するメリットは?

時間、手間、コストのかかる仮決算方式ですが、メリットが生じるケースがあります。それは、「前事業年度の業績は好調だったが、今年は業績が大幅に悪化してしまい、前年実績に基づく中間納付額を支払うのが難しい」というケースです。

もし、中間時点で仮決算を行ってみた結果、所得が赤字になっていれば、法人税の中間納付額はゼロまで抑えることができます。資金繰りを検討し、どうしても前年の半分の税額を払うのが厳しい、という状況になった場合には仮決算に基づく方法を選択するメリットがあります。

なお、中間申告には法人税以外に法人住民税と法人事業税もあります。これらは国ではなく都道府県や市区町村に納付する税です。このうち法人住民税については「法人住民税均等割」という赤字でも一定の納付税額が発生する税があります。仮に中間時点の仮決算で所得が赤字となった場合でもこの法人住民税均等割だけは納付しなければなりませんので、留意が必要です。
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