【住宅ローン控除】家事按分は事業割合10%以下か否かに注意

自宅兼事務所の住宅ローン控除 個人の税務と確定申告

所得税の計算において、住宅ローン控除は税負担を大きく減らす効果があります。住宅ローン控除は、基本的に居住を目的とした住まいに関する制度ですが、個人事業主の場合、自宅兼事務所として仕事でも使っている場合が多くあります。その場合、住宅ローン控除の適用について注意すべき点があります。

ちなみに、住宅ローン控除というのは通称で、正式には「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」と言います。
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自宅兼事務所に関わる経費の家事按分

自宅と事務所が一体となっている個人事業主は、家に関わる経費の一部を事業の経費に計上することができます。家事按分と言われる経理方法です。

自宅を借りている場合

家に関わる経費として代表的なものは、自宅を借りている場合の家賃です。

賃貸住宅の場合、個人で支払っている家賃のうち、仕事で使っている部分とプライベートで使っている部分を明確に分けることができれば、仕事として使っている部分に相当する割合の家賃を経費に計上することができます。

自宅を購入した場合

次に自宅を購入し、その一部で事業を行っているケースです。

持ち家の場合も、減価償却費や固定資産税、火災保険料などを、賃貸の場合と同様に仕事で使っている部分を区分することができれば経費に入れることができます。

住宅ローン控除適用時の注意点

賃貸で自宅兼事務所を借りている場合は関係ありませんが、購入して使用している場合、住宅ローン控除の適用に当たり注意すべき点があります。

事業割合については住宅ローン控除に制限あり

持ち家の場合で、家の購入資金に住宅ローン控除の適用を受けている場合、何も考えずに仕事の割合とプライベートの割合を算出して按分比率を計算してしまうと、住宅ローン控除の適用に制限がかかってしまいます。

これは、そもそも住宅ローン控除自体が、居住部分のみを対象とした制度であるためです。そのため、仕事で使っている部分には、この住宅ローン控除を適用することはできないことが原則とされています。

また、住宅の床面積の2分の1以上を居住用にしていることが住宅ローン控除を適用するための要件です。つまり、自宅の床面積の半分を超える部分を仕事用に使っている場合、そもそも住宅ローン控除を受けることができません。

この判定に用いる床面積は、登記簿に表示されている床面積を使いますので、正確な数値を確認するようにしましょう。マンションの場合は、共有部分が存在しますが、その部分は自宅の床面積には含めません。登記簿に記載された専有部分の面積を用います。

事業割合を10%以下とした場合の例外

原則は上記の通りですが、一部例外が認められています。

それは、事業割合を10%以下とした場合(=居住部分の割合がおおむね90%以上である場合)です。

この場合には、自宅を事務所兼用として使っていたとしても、仕事で使っている割合は1割未満しかないため、ほとんどが居住用と捉えても差し支えないからです。このケースでは、住宅ローン控除に制限はかからず、満額の住宅ローン控除を受けることができます。

このケースでは、住宅ローン控除の適用を満額受けたうえで、家に関わる経費(減価償却費等)の10%を経費に計上することができます。

まとめ

住宅ローン控除は、納税者にとっては税額を減らす効果の高い非常に有利な税制です。

自宅兼事務所の場合には、事業割合が10%以下であるか否かによって、控除できる金額に差が生じます。一般的には、住宅ローン控除を満額適用することで税負担を大きく減らせることが多いですが、事業割合が高い場合には、減価償却費等の経費算入額と比較して検討することが重要です。

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