租税公課として仕訳する具体例
租税公課は、基本的に販売費及び一般管理費に計上される経費の科目のひとつです。租税公課として仕訳を行う代表的なものには、以下のものがあります。
租税公課の具体例 |
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上記のとおり、「税」の付く費用や地方公共団体の窓口などで支払うものが租税公課になります。
租税公課の仕訳例
租税公課を用いた仕訳を設例で確認します。
固定資産税の仕訳例
【設例1】
当社は製造業を営んでいます。製品を作るための工場を有しており、この工場に係る固定資産税の賦課決定の通知が届きました。当事業年度の固定資産税の賦課決定額は700万円です。
当社は製造業を営んでいます。製品を作るための工場を有しており、この工場に係る固定資産税の賦課決定の通知が届きました。当事業年度の固定資産税の賦課決定額は700万円です。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
租税公課 | 7,000,000 | 未払金 | 7,000,000 |
固定資産税の賦課決定通知をもとに、借方に租税公課勘定を計上します。固定資産税は、分割で納付することができますので、貸方は未払金等を用い、その後実際に納付した日に未払金を取り崩す仕訳を行います。
税込経理を採用している場合の消費税の仕訳例
【設例2】
当社は消費税の課税事業者です。消費税の会計処理方法として、税込経理方式を採用しています。決算を迎え当事業年度の消費税額を計算したところ、540万円となりました。
当社は消費税の課税事業者です。消費税の会計処理方法として、税込経理方式を採用しています。決算を迎え当事業年度の消費税額を計算したところ、540万円となりました。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
租税公課 | 5,400,000 | 未払消費税等 | 5,400,000 |
消費税は、原則として決算日から2ヵ月以内に納付することになりますので、決算日時点で計上する仕訳の貸方は「未払消費税等」となります。未払金等の科目とは分けて計上しておくのが適切です。
なお、消費税の年間税負担額を計上する際に租税公課勘定を用いるのは、税込経理方式を採用している場合のみです。消費税の会計処理方法には税込経理方式のほかに「税抜経理方式」を採用することもできますが、税抜経理方式を採用している会社では上記の仕訳は行いません。
収入印紙の仕訳例
【設例3】
取引先との契約書および領収書に貼付するため、収入印紙を10万円分現金で購入しました。
取引先との契約書および領収書に貼付するため、収入印紙を10万円分現金で購入しました。
仕訳
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
租税公課 | 100,000 | 現金 | 100,000 |
上記の通り、期中に収入印紙を購入したときには、購入金額を租税公課勘定を用いて仕訳を行うことが一般的です。
そして、購入した収入印紙のうち、その事業年度中に使い切らなかった分については、決算整理仕訳において貯蔵品等の資産科目に計上します。例えば、購入した10万円分の収入印紙のうち8万円は実際にその年度で使用したものの、決算日に2万円が未使用のまま残った場合、下記の決算整理仕訳を行います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
貯蔵品 | 20,000 | 租税公課 | 20,000 |
上記の仕訳を行うことで、その事業年度に租税公課勘定に計上した金額は8万円(借方の10万円-貸方の2万円=8万円)となり、実際に使用した額だけ費用計上が行われたことになります。この仕訳を行うためには、決算日にいくらの収入印紙が未使用で残っているのかをカウントしておく必要があります。